パット・メセニー ライブ2016/05/25 15:08


パット・メセニーのライブを5月24日にブルーノート東京で観てきた。この人のライブは90年代から通っていて、かれこれ四半世紀以上に渡って聴いている。ECM時代はリアルタイムでは聴いていないが、CDを聴けばその変遷を辿ることが出来るので、現在に至るまでの変わり続けている彼の姿をずっと追い続けていた。その時その時のライブは常に新鮮で、本質を変えることなく様々な断面でその時代を現わしており、ジャズは変わり続ける音楽という事を表現してくれている稀有なミュージシャンだと思っている。今まで観てきたライブは必ず驚きと感動を伴うものであり、自分の中では「期待を外さないパット・メセニー」という固定観念が出来上がっていた。ライブが終わった後の観客席に向かい合う彼の姿は後光が差しているようにいつも見えていた。

このことを踏まえて今回のライブについて感じたことを留めておきたい。今回のグループはワールドプレミアで世界に先駆けて演奏するというもの。ブルーノートの宣伝には、「時代やジャンルを超越した、ワイド・レンジな音楽を表現したい。と語るメセニーの新たな世界」とある。ピアノとベースは名前も知らぬミュージシャン。どんな音を出すのかも全く分からない。しかも新たな世界とあり、期待しない訳にはいかない。

ところがである。
始まった音楽は90年代のパットメセニーグループ(PMG)の曲ばかり。知らない曲は一つもなくて耳馴染んだ曲の連続。どこが新しい世界なんだ!?どの曲も大好きな曲ばかりなのでよけいに複雑な心境。もちろん本人以外はPMGのメンバーはいない訳でアントニオ・サンチェス以外は無名のミュージシャン。実際に聴いたところで何の印象も残っていない。なんでこのピアノとベースなの?といった感じ。演奏した曲もみんな短めで、さあこれから盛り上がるぞと思っているとすぐに終わり。ある程度、曲の長さがないとドライブ感を感じられない。曲の密度感は編成人数ではなくて今まで聴いたデュオやトリオでも感じることが出来たのだが、今回は感じられなかった。やはりレベルの高い2人とそれなりの2人では相乗効果が出てこないか。聴き進めていくうちにがっかり感を強く感じてしまった。PMGのメンバーで演奏したレベルには全く届いていない。どうせやるならPMGのメンバーでやってもらいたかった。それならこちらもそう期待したし、レベルも高かっただろうに。
 パット・メセニーにはプレイヤーの側面だけではなく、もっと広い視野での音楽家として期待を持っている。それ故にパット・メセニーが後退したと初めて感じてしまった。今回の彼からは後光を感じることは出来なかった。とても複雑な思いが胸中を渦巻いている。

レコード再生2016/01/10 15:16

年末年始の休みを利用して純アナログのシステムを構築した。

レコードプレーヤーは自分で作れないのでDENONのDP-1300MKIIを調達。久々に秋葉原のオーディオショップを訪ねた。
フォノイコライザーはLV2-PE-KITというキットを購入。片電源の設計だが両電源に改造出来るようなので丁度いい。
レコードプレーヤーの出力はアンバランスなのでアンプもアンバランスのモノを作り、デジタル再生のフルバランス構成とは別のものとした。使うICはLM3886だ。音が良くて回路が簡単。
電源は今まで使っているシリコンバッテリーの両電源±12V。

フォノイコライザーのオペアンプは付属品が不良らしくてノイズが治まらず、手持ちのLT1364に差し替えたところ良くなった。このオペアンプはデジタル再生で使っているアンプにも使用しているがとても気に入っている。

何しろ30年ぶりのレコードなので針圧の設定やらヘッドシェル、カートリッジの取り付け方などすっかり忘れていた。

何回かの失敗の後に出たまともな設定の音は、DSD再生の音ととても良く似た非常に滑らか音。しばらく聴き込んで両者の違いをみつけたい。

アナログ盤とライブ2015/10/17 10:43

最近はオーディオ的には特に更新もなく、wavファイルをDSD変換しながら音楽を楽しんでいる。デジタルでの音楽再生はかなり満足いくものになっている。
世の中はアップルミュージックのような便利で手軽な音楽再生が主流ではあるが、手間をかけた音楽再生は演奏者の気配まで感じられる素晴らしいものだ。(しかしアップルミュージックは、新たな音源に接することの出来るとても便利なものだと思う。)

家の中だけで音楽を楽しむだけではなくライブは月に数回行っているが、この一月半はとても充実していた。

音楽とオーディオのイベントで9月に行われた、ピーター・バラカン氏のA taste of Musicを見に行った。PCMハイレゾとアナログ盤の比較なども行い、とても良い内容だった。結局アナログ盤は究極のハイレゾ音源とも言えるようなものだと感じた。DSDとの比較がなかったのは残念だがPCMハイレゾとの差は大きく、生々しい再生が素晴らしかった。集まっていた人たちからもディスクの紹介などがあり、知らないミュージシャンを知ることができた。(家に帰ってからアップルミュージックも活躍した。)

9月から10月半ばまではジャズピアノミュージシャンのライブがとても充実していた。観てきたライブは

Matt Savage(好きなドラマー池長一美氏の参加)
大西順子(復活 リーダーではなかったが Karriem Riggins良かった)
Bobo Stenson(初来日 ECM好きになったのはこの人から)
Marcin Wasilewski(高崎まで行った Sławomir Kurkiewicz良かった)
Robert Gladper(最近はこの人がらみが多い Damion Reid良かった)
Lars Jansson(以前の森さんとシェルべリさんの方が良かったかな)
Nik Bartsch(編成は小さくなったが他にはない世界)

ECMのミュージシャンがこの短期間にこれだけ来るとは珍しい。
大西順子のソロはリーダーではなかったので加速していく演奏は見られなかったが、来月には新たなトリオでのライブがあるので期待したい。

P2D基板2014/04/27 18:19

 今年度からようやく余裕を持ってオーディオにかける時間が確保出来るようになった。
 周りをみてみるとDSD512の再生を考えることが必要だと思ったので、手っ取り早く出来るのはP2D基板とDSD512対応したDACを調達すればいいと思った。P2D基板も以前よりも買いやすくなり難なく手に入れることが出来た。

 ついでにアンプもBTLにしたかったのでLM3886を4個使って作ってみた。かなり余裕が出てきて躍動感が増すようになった。

 DSD1794A差動出力完成基板をDACにしているのでDSD256までの対応のはずである。P2D基板は88.2kHz以上のPCMを入れるとDSD512になるのでこのままでは再生出来ない。そのうちに原理基板かES9018のDACを調達するかと考えていた。しかし接続してとりあえずやってみるかと88.2のファイルを再生すると、

 なんと音がでる。

 DSDの場合は何とかなってしまうようだ。結局のところDSD対応のチップは原理基板のように働いているのかな?
 前もってDSD256に変換したファイルと、44.1をP2D基板に入れりリアルタイム変換したものでは音質はほとんど変わらず、わずかに事前変換の方がいいかなと感じる程度。88.2を入れるとDSD512になるので事前変換DSD256を上回った。事前変換の手間と時間を考えると、お手軽で高音質。P2D基板だけでDSD512を聴けるのだからお買い得だった。

DSD1794A差動出力完成基板2013/01/07 20:51

 FN1242を使った自作DACを使用していたが、どうも静かな部分でのノイズが気になってしまう。エレアトさんの自作基板は前回大失敗していたので、またやる気は出ない。しかし完成基板があるので今回はそれを購入してみた。駆動は5V供給はニッケル水素4本直列。12Vはシリコンバッテリーだ。
 この基板を使うと全くノイズは出ない。これだけでもストレス解放だ。FN1242のDACはDSD専用で使用していたが、この完成基板はPCMとDSDを自動で切り替えて再生してくれるのでとても便利。当たり前といえばそうなのだが、PCMもDSDも両方再生出来た方が良いに決まってる。それにしてもノイズのないDSD256ファイルは凄いな。
 PCM2DSD基板も欲しいところだが売り出した瞬間に売り切れてしまうので、しばらくはDSD256ファイルを時間かけて作るしかないか。


48kHz系wavのDSD再生2012/10/08 17:25

 UDA基板(Dop録音版)はワードクロックを入力できる。このワードクロック入力を使えば48kHz系のwavを44.1kHzに変換しなくてもいけるのではないかと考えた。
 まず96kHz/24bitのwavを44.1kHzに偽装してDSD128に変換。
このまま再生ではUDA基板の内部クロック使用で曲のスピードが遅くなってしまう。
 そこでワードクロック入力だ。本来ならDSD再生には44.1kHzを入力しなくてはならないところに48kHzを入力して再生。
 
 この状態だと問題なく再生できる。DSD再生の場合ワードクロック入力は48kHzまでなら入力できるが、それよりも高い周波数は入力出来なかった。Dop版のPlayAudioはDSD128までしか対応していないため、ワードクロックが96kHzまで入ればDSD256まで48kHz系の再生ができると思ったのだが残念。Dop版PlayAudioのDSD256対応を待つとしよう。


 44.1kHzのDSD256変換だが、FUSE+DSDDirectに戻した。FUSEは盛大なノイズが曲の最後に入るので敬遠していた。しかし -ct オプションで大部分がカット出来る事に気がついて、やってみるとほぼ問題なし。無音に近い部分のノイズは我慢出来るレベルなのでこちらでやっていこうと思う。変換時間がかなり改善されるのでこちらが使えればとても助かる。

wav2dff2012/09/10 20:03

 FUSEv022は音は良いのだが二つ難点がある。一つは曲の最後の瞬間にザッという結構大きいノイズが入る。もう一つは無音に近いようなレベルの部分で、わずかだがキュルキュルとかシューッという小さいノイズが入ってしまう。これはECMのピアノトリオなどではかなり気になる。ベースのソロになるとこの音が浮き上がってくる。

 DSDDirectのみでDSDファイルにするとこのノイズは入らないのでwavのアップサンプリング時に入っているようだ。Upconvでもやはり入ってしまう。
 しかしsunacchiさんの作ったwav2dff だと全く入らない。ただデフォルトのタップ数だとFUSEの音には少し及ばない。そこでタップ数を65536にしたらようやく同等くらいになった感じだ。しかし変換時間がハンパではない。CD1枚に16時間。これはどうしたものだか。


追記

先日88.2kHzのwavデータをDSDDirectでDSD128に変換したところ、曲の終わりにザッというノイズが入っていた。これはFUSEを使っていない変換なのでこのノイズの原因は違うところにあるようだ。(2012.9.21)

DSD2562012/09/01 20:06

 ただのCDデータをDSD256に変換するだけなのだが凄い変わりようだ。SACDよりも良いくらい。今までハイレゾデータを選んで聴くようになってしまっていて、演奏は良いんだが音が今ひとつなので敬遠していたCDがたくさんあった。これで聴き方がまた変わりそうだ。
 wav44.1kHzを176.4kHzにするには様々なアプリがあって音がそれぞれ違う。結局一番音が良いと感じたのは評判通りFUSEv022だった。Xpでしか使えないが、仕方ないので以前Linuxをやってた時のデスクトップがあるので、そちらにXpの64bitをインストールした。
 
 48kHz系のハイレゾや88.2kHzはUpconvを使えば良いみたい。AudioGateを使うとお手軽だが、この音を聴いてしまうとかなり違う。AudioGateをかませないでデータ変換したい。

 CD一枚分を変換するのには相当時間がかかる。FUSEv022とDSDDirectが主だが3〜4時間くらいか。半日仕事だ。出来上がったデータはとにかく大きい。1曲1GB前後。
 データ管理をどうするかが問題だ。

DSD Direct2012/08/21 17:00

 wav〜DSD変換をAudioGate以外で行いたいので調達した。DSDDirectは変換にはかなり時間がかかるがとても音が良いとのことだ。44.1kHzからDSD64への変換のみだが、他のソフトウェアを使いやりかた次第では88.2kHzや176.4kHzをDSD256へ変換することができる。いろいろ工夫してやり方を公開してくださっている方々に感謝だ。
 
 このDSD Directを使ってDSDファイルにして、UDA(DoP版)基板(先日購入)、DSD-DAC、LM3886のアナログアンプから出てくる音はPCMフルデジタルアンプを上回った。PCMのハイレゾファイルをDSD化するということは、元々ハイレゾのものをさらにハイレゾ化することになり圧倒的な空気感を感じる事ができる。面白い事にDSD64のファイルを一度176.4kHzに変換してさらにDSD256にした方が元々のDSD64よりも良い。
 もっともファイルの大きさは1曲だけでCD1枚分を超える大きさになるが。

DSDーDAC 製作2012/08/14 17:50

 以前DSD-DACを作ろうとして大失敗していたが、また作る意欲が出てきた。しばらく指を怪我していたこともあってこの夏休みになってしまった。
 FN1242というICを使ってのDACだが、バルク転送USBオーディオ基板から直接接続している。

 このDACに接続するのがLM3886というICを使ったアナログアンプ。このブログを始める前にJBLのSRスピーカーをアクティブフィルターで2wayのマルチアンプにしていたのだが、そときに作ったアンプを久々に取り出して繋いでみたのだ。

 今回のDAC製作は慎重に行ったせいか、トラブルもなく順調に完成した。アンプは基板を2枚持っていたのだが、1枚の基板からは煙が出てきてしまった。残り1枚の方を確認しながら繋ぎようやく音出しへ。

 全ての機材はバッテリー駆動。±12Vと+5Vで動作させる。このアンプはDSDファイル専用だ。
 いつも聴いているwavファイルはDSDファイルから変換しているものなので、wavファイルを聴いている感じよりも高域の情報量は若干DSDファイルの方が上だ。しかし低域の音の出方はPCMによるフルデジタルアンプの方が沈んで締まった音がする。
 DSDファイルをDACからアナログアンプで鳴らす音は、wavファイルをフルデジタルアンプで鳴らす音よりも全てにおいて上という訳ではないようだ。
 もっともこの辺りの事はアンプによるところが大きいのだと思うが。